ジョージ・クリントンおよびPファンク軍団の思想や哲学を読み解く解説本が発売される

2014年末には33年ぶりとなるファンカデリックのオリジナル新作を発表し、11月末にビルボードライブでの来日公演を終えたジョージ・クリントンを中心としたPファンク軍団。彼らの思想や哲学を読み解く書籍『丸屋九兵衛が選ぶ、ジョージ・クリントンとPファンク軍団の決めゼリフ』が発売された。

ジョージ・クリントン率いるパーラメント/ファンカデリックを中心に、ブーツィ・コリンズ、バーニー・ウォーレルといった才能が集合、全盛期を迎えた70年代にファンクのイメージを更新した「Pファンク」。80年代以降もドクター・ドレーらウェストコースト・ヒップホップ勢を中心にサンプリングされ、現在に至るまで熱狂的なファンを獲得している。2014年にはファンカデリックの33年ぶり新作をリリースしたPファンクの総帥ジョージ・クリントンは、人気若手ラッパー、ケンドリック・ラマーのグラミー授賞作『To Pimp A Butterfly』への参加を始め、ロサンジェルスの鬼才フライング・ロータスのレーベルから新作をリリース予定だとアナウンスするなど、70代半ばを迎えながら、また新たな黄金期を築きつつあるのだ。

今年は、500ページ以上に及ぶ自伝本『ファンクはつらいよ ジョージ・クリントン自伝』も7月に発売になったばかりだが、ジョージ・クリントン&パーラメント/ファンカデリックの来日公演を機に、ブラック・ミュージック界の超大物であるジョージ・クリントンとPファンク軍団の作品世界を考察する、新たな書籍が発行された。

ブラック・ミュージックを中心に扱うウェブ・メディア=bmrの編集長で、過去にPファンク関係の記事やライナーノーツ等を多数執筆してきた丸屋九兵衛が執筆した『ジョージ・クリントンとPファンク軍団の決めゼリフ』は、日本人には難解で、親しみにくいPファンクの思想を解説していくもの。Pファンクは、アルバム自体がコミカルSF的なストーリー仕立てになっており、「Pファンク神話」として研究の対象にもなっているものの、本国アメリカでも誤読されていることもある。これを、SF評論家としても活動する筆者がひも解いていくというのが本書で、Pファンク神話の根幹にある黒人特有の未来SF思考「アフロフューチャリズム」を始め、Pファンクという概念を生み出したジョージ・クリントンらの思想、ファンカデリックの政治性などが丁寧に説明されている。

他にも、タワーレコード渋谷店で行われた昨年のインストア・イベントでジョージ・クリントン本人とのトークセッションを振り返り、舞台裏での交流の様子についても窺うことのできるコラムや、「ブーツィ・コリンズに文章を誉められて文筆業を目指すようになった」エピソード、Pファンク作品の紹介など、およそ200ページとなる全編にわたってPファンク愛が詰まった書籍となっている。なお、SPACE SHOWER STOREで購入すると、特典として丸屋九兵衛がさらにPファンクに関するトリビアを語るという音声解説ファイルのmp3ダウンロードカードが封入予定。

また、同書の発売を記念して12月7日(水)に銀座のH本屋 EDIT TOKYOでトークイベントが行われるほか、12月16日(金)には、丸屋九兵衛のトークイベント〈Q-B-CONTINUED〉が渋谷のレッドブル・スタジオ東京で開催。こちらは19時からの第一部が『丸屋九兵衛が選ぶ、ジョージ・クリントンとPファンク軍団の決めゼリフ』発売記念の回となり、20時30分からの第二部は、Pファンクとも縁の深い「ファンタジー」の世界を追究するという2本立ての構成となっている。

 

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