NMB48山本彩が発売するファーストソロアルバム『Rainbow』を「アイドルが出したソロアルバム」として聞けば、間違いなく驚くことだろう。亀田誠治という国内屈指のサウンドプロデューサーとタッグを組んだ『Rainbow』は、「シンガーソングライター」としての山本彩の可能性が限界以上に引き出されている一枚となっている。
NMB48、AKB48では様々なレコーディングに関わってきただろう山本だが、今回はった一人でプロのミュージシャンたちと一つの作品を作り上げた。その戸惑いも、驚きも発見も全てがパッケージングされたまさに「1stアルバム」のキラメキが封じ込まれている。しかし、そこにはいわゆる「アイドルソング」は無く、ミュージシャンとしての山本彩がいる。ギターを弾き続けてきた山本だからこそ、音楽の本質をしっかりと理解し、楽器の鳴りや曲ごとに違う構成もしっかりと捉え、表現している。
山本が自身で作詞作曲をした『雪恋』では、「何となくわかってたんだ この場所にずっとはいられないこと」と、現在の山本彩の現状を歌うようなドキリとした歌詞で始まる。ラブソングでありながら、山本彩とファンの、山本彩とNMB48メンバーの絆を感じさせ、そう遠くはない卒業の日を思わせるようにも聞こえ、作詞家としての才能も魅せる。
また、彼女が自分で生み出した楽曲も様々な色を見せ、『レインボーローズ』ではストレートなロックを聞かせ、作詞家・秋元康とタッグを組んだ『疑問符』では歌謡曲の匂いもさせる。作曲家としての才能も魅せつける。
現在の山本彩は、紅白歌合戦にも出演するアイドル「NMB48の山本彩」としてのイメージが強い。また、『365日の紙飛行機』の大ブレイクもあり、一人のシンガーソングライターのソロデビュー作としてはかなりハードルが上がっているのも事実だろう。
しかし、外野からの声をすべて吹き飛ばす作品としてのパワーをこの一枚は秘めている。
写真(C)Sayaka Yamamoto
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